根を土におろして植物は育ちます。
何を今さらと思われますか? とはいうものの、化学合成肥料を与えられた植物は、簡単に栄養を取り込むことができるので、根をはることを忘れ、あっという間に大きくなることができます。しかしこれでは、人間に例えて言うと、肝心の食事を抜いて栄養剤だけで育つようなもの。倒れやすく、周囲の環境の影響を受けやすいので病害虫の被害も拡大、農薬なしでは生きられない状態になってしまいます。
一方、自然のサイクルに従って育つ植物は、自らの力で土中に分散する水と栄養を求め、地中深くまでしっかり根を下ろします。自然、気温の変化や乾燥、病気などの逆境にも強くなり、農薬なしで育つことができるのです。
植物が根を深く下ろすためには、生きた土が必要です。
生きた土というのは枯葉などその土地にある有機物を食べ、土の中を動き回るミミズや微生物のいる土地です。その土地の材料でできた土は、栄養とその土地の個性を植物に与えてくれます。農薬、除草剤、土壌消毒などで畑の生き物を殺してしまっては、こうした自然の生み出す連鎖が断ち切られてしまいます。
こんな自然の営みを尊重し、土や植物に本来の力を蘇らせるのがオーガニック農業です。
化学肥料と農薬を止め、オーガニック農業へ転換すると、数年はまともな収穫ができません。畑の環境が元に戻るまでには時間がかかるのです。そもそも、収穫量とスピードを最優先させて発展した化学農業。畑の微生物環境が元に戻っても収穫量は化学農業時代を下回ってしまいます。それに加えて、雑草を土中に鋤き込む、堆肥を作るなど数々の手間がかかり、病害が発生しても農薬を撒くわけにはいかないので、病んだ部分を取り除くしかありません。オーガニック農業による生産は常にリスクにさらされているのです。
収穫量が少ないなどの理由で、今は忘れ去られてしまった植物もたくさんあります。
オーガニック生産者の中にはそのような品種の再生や保護に立ち上がっている人も大勢います。
オーガニック加工食品においては、合成添加物や合成保存料は使えないので徹底的な衛生管理が必要です。輸送や保管にも細心の注意が必要です。原材料の生産量が一定しているわけではないので、原材料の供給状態によって生産量を加減したり、場合によっては生産を中止しなくてはなりません。
オーガニック食品は自然のもたらす恵みと、それを生産する人々の努力で私たちの元に届いています。
このような手間ひまにはかえられない、
環境への配慮、おいしさ、私たちと動植物の健康、伝統、それぞれの思い
を追求して、生産者はオーガニック食品作りに今日も精を出しています。