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去る2月4日欧州委員会農業委員(EUの農相に相当)フランツ・フィシュラーは、農業と農業政策が社会に果たす役割について彼の見解を述べた。
「EUの誕生当初、飢餓はまだ非常にありふれた現象だった。第二次世界大戦直後、ヨーロッパは食糧援助に頼っており、それだからこそ、共通農業指針の第一目的は、生きるために十分な食糧供給を確保することであった。これを受けて、財政援助は生産と、農家が十分な収入を得られるだけの販売価格を保証することを促進するために向けられた。ヨーロッパの農家が世界の農家と同等に競争できるよう、輸出に対する補助金制度も実施された。こうした全ての政策の効果が出始めるのに時間はかからなかった。1973年には既に、EUは重要農産物の大部分を自給できるまでになっていた。
しかし、あらゆる物事には別の側面も存在する。これらの政策によって、需要を超えた過剰生産が引き起こされたのだ。農家は市場の要望を意に介さずさらに生産しつづけた。穀物と畜肉の貯蔵は頂点に達し、見直しが必要になってきた。とはいうものの、実質的な最初の見直しが行われたのは、1992年のことであり、その見直しは、1999年、Agenda2000として完成した。この見直しの成果を図ることは容易である。例えば、1991年は農業予算の91%が保管と輸出のために使用されていたのに対し、今日では28%にすぎない。この方向転換によって、ヨーロッパ農家の競争力は内外ともに強化されることとなった。
同時に我々は、農家の収入減を補填するための方法についても検討した。我々は直接支払制度を導入し、現在それは予算の62%を占めている。直接支払制度は生産を奨励するのではなく、むしろ抑制する効果を持つことを想定されている。
しかしながらこれだけでは、不十分である。EUの誕生以来、社会が要求するものはとどまることなく進化し、それは今後も進化し続けるだろう。もしも我々の政治が成果をもたらすことを望むなら、こうした新しい要望に注意を払わなければならない。今日、人々は単純に『食べるもの』を望んでいるのではない。同様に食品がどのように生産されているか、明確にされることも望まれる。農家が持続可能であるかどうかを常に考えて仕事をすることを望んでいる。即ち、未来の世代のために環境を守っていける農業の方法である。
また、ヨーロッパ人は、自分たちがよく知っていて、快いと感じ、リラックスできる風景が消滅していくことを望まない。それはオランダの無数の岸辺であり、アルプスであり、マズルカ地方の湖であるだろう。人間によって手入れされた風景、そしてその中で我々は生きているわけだが、それは我々のアイデンティティの重要な部分を形成しており、農家というのは、この田園地方の維持において、代わりのいない役目を負っているのである。
つまり、今や社会は多くの農家に期待しており、現代的な農業政策は彼らの要望を満たすことに寄与するに違いない。それには、ただこれまでの政策を推し進めるだけでは不十分である。そこで我々は、古典的な農業政策を全く新しい概念で拡大した。即ち田園発展政策である。
では具体的に『田園発展』とは何であるか例を述べてみよう。
第一にそれは環境の保護である。社会は、農業が環境を大切にし、田園地方を維持することを望んでいる。自然を尊重しながら耕作するには、農家は従来以上のコストに耐え、余分の手当を支払わなくてはならない。田園発展政策によって、現時点ではこのコストを負担し、余分な手当に対する補助金を出すことができる。この方法は、特にオーガニック農業を奨励するのに使用されている。
私はチロル地方の出身であり、チロル地方というのは完全に山の中に位置している。この地方は、山の中に展開する方法で牧場と森を維持する農家がいなければ、全く人間が住めない場所であっただろう。ご存知の通り、ここで働く農家は、平野で大規模農場を経営する農家に比べれば、経済的に有利な状態で生産することはできない。それにも関わらず、こうした農家が仕事をしつづけることができるように、我々は田園発展の一環として、彼らを援助するのである。これが2つ目の例である。
3つ目の例として、農業を志す若者である。農場を始めようとするときに、その開始資本が重要であることは、誰でも知っている。これに関しても、田園発展の一環として、彼らの要望に応じている。
田園地方が砂漠化することを防ぎたいと望むなら、農業だけを考えていたのでは足りない。EUでは、現在農業部門に従事する人口は、平均して4.5%にすぎないのである。それゆえに、田園発展において我々は、農業外の雇用の創出も奨励しているのである。例えば、インフラストラクチャー、様々なタイプの雇用を生み出す養成機関、旅行部門など。
もちろん、農業の基本的な使命は食品の生産である。我々ヨーロッパ農家の手当を守り、田園が見捨てられ、砂漠化することを防ぎたいと思うのであれば、我々は農家への余分の手当のために補助金を払わなくてはならない。現時点においては、我々は予算の10%をこれに充てている。開始時点ではこれも結構だが、足りないことは明白である。そこで私は、今後さらに田園発展を強調していく。
我々の農業改革は、持続に結びつく過程である。よって、現代の変化に対応するために努力し続けねばならない。その機会は今年にも既に与えられている。上半期の終わりに、Agenda2000の政策の再検討を予定しており、必要な調整を行う予定である。田園発展政策をさらにより良いものにする方法が出てくることだろう。」
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