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2005年5月28日 vol.24

私の見たヨーロッパオーガニック

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*毎週発行のEUOFA通信にて連載中。
 

 


vol.24 英国のオーガニック食品事情2

 

前回に引き続き、約1年半イギリスに留学され、帰国後まだ間もない飯田夏代さんから、イギリスのオーガニック事情についてレポートいただきました。かの地で書かれた修士論文もオーガニック食品に関するものだったという飯田さんのレポートをどうぞお楽しみください。


今年2月、イギリスのオブザーバー紙上で、読者が選ぶオーガニック食品のベスト5が発表されました。
この読者投票は年に一度行われ、今回が2回目になります。1位に輝いたのは、Green & Black’s のチョコレート。オーガニック志向、環境志向の友人の間でも人気の同社のチョコレートが、昨年に引き続きトップに選ばれました。ちなみにGreen & Black’sという社名の由来は、環境にやさしい(Green)チョコレート(の色はBlack)だからだそう。スーパーにはもちろん、大学内のショップや駅の売店などにも並んでいますし、またイギリスのどの町にも必ずといっていいほど見かけるOxfamのチャリティ・ショップでもフェア・トレード商品と並んで販売されています。2位はRachel’s のヨーグルト、3位にYeo Valley のヨーグルト、さらにWaitroseのフリーレンジのたまご、Duchy Originalのベーコンと続きます。今回はこの5位に選ばれたDuchy Original社について少しご紹介したいと思います。

社名に冠するDuchy とは英語で「公爵領」、または「英国王族の公領」を表す言葉。そう、この会社の創立者は実は、チャールズ皇太子です。ご存知の方もおられると思いますが、チャールズ皇太子は長年、自然保護や景観保全などに力を注いでおり、オーガニックにも深い理解を示しています。皇太子は、オーガニック食品が身体によいのはもちろんのこと、オーガニック農業は真に持続可能な農業と食糧生産の形であり、田園地帯や野生生物を守る大切な役割を果たすものであるとし
て、1990年にオーガニック農業を支援する目的でこのDuchy Original社を立ち上げました。また、グローチェスターシャーのハイグローブに所有していた領地をオーガニック農地に転換。同社の製品には、皇太子の所有するこの農場で生産されたものを中心に、可能な限り英国産の材料が使用されています。

代表的な製品は、ビスケットやショートブレッドなどのお菓子類、ジャムやマーマレードなど。他にも、前述の読者投票でも票を集めたベーコンやソーセージなどの肉類、牛乳やバター、アイスクリームなどの乳製品、また食品以外でもシャンプーやローションなどのボディ・ケア商品、さらには家具にいたるまで多岐にわたっています。もちろんすべて、ソイル・アソシエーションのオーガニック認定済み。Duchy Originalの商品は、イギリス国内でしたら大抵どこのスーパーにも並んでいます。また、ロンドンのセント・ポール寺院など、王室にゆかりのある観光スポットのギフトショップなどでも時折見かけますので、ご覧になった方もおられるかもしれません。日本にも輸入されており、スーパーの紀ノ国屋などで手に入れることが可能だそうです。

同社のホームページ(http://www.duchyoriginals.com/)によれば、2004年にはその売上額は100万ポンド(約2億円)を超えたとのこと。そしてこれら収益の一部は、チャールズ皇太子のThe Prince of Wales’s Charitable Foundationに寄付され、農業、田園地方の経済支援をはじめとして国際赤十字などの医療プログラムや、環境、健康、芸術、教育など多分野にまたがるさまざまなプロジェクトの支援に使われています。

また、このDuchy Originalでもうひとつ注目したいのは、オーガニック団体のHDRAと協同して2001年から始めたOrganic Gardens for Schools Projectというプロジェクト。これは、全国の学校にオーガニック・ガーデンを設けて、子供たちに野菜の育て方を学んでもらおうというものです。オーガニック野菜を栽培・収穫し、さらにはそれを自分たちで調理して味わおうというこのプロジェクトに、現在ではイギリス全国で1,000を超える学校が参加しているそうです。

食の教育については、日本でも最近は「食育」という言葉が使われてその必要性が説かれるようになりましたが、イギリスでも同じ状況で、食に関する教育の重要性や学校給食の改善の必要性が盛んに論じられています。その背景にあるのは、子供たちの食生活の乱れや、糖分や脂肪を多く含む加工食品のとりすぎにより増加の一途をたどる子供たちの肥満など、健康面で多くの問題が見られていることです。こうした状況の下で、上記のOrganic Gardens for Schools Projectの他に
も、学校給食の改善を目指してオーガニック食材を最低でも30%使用することなどを目標に掲げた、ソイル・アソシエーションを中心に進められているFood for Life プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトが展開されています。またこうした流れを受けて、政府も学校給食の改善に対して多額の予算を投じること、学校給食の基準の見直しに着手することなどを表明しています。

以上、簡単にイギリスの最近のオーガニック事情についてご紹介いたしました。イギリスを訪れる機会がありましたら、観光の合間にでもぜひ街角のスーパーにも足を運んでみてください。きっといろいろなオーガニック食品を目にすることができると思います。

vol.1 ドイツのオーガニックな日常
vol.2 オーガニックを広める人たち
vol.3 オーガニックな人ってきっとこんな人
vol.4 人を結ぶマルシェの役割
vol.5 見る触れるオーガニックライフスタイル
vol.6 農家で暮らす休日
vol.7 オーガニック料理雑誌創刊
vol.8 スローフードの魅力
vol.9 あなたのオーガニック度は?
vol.10 オーガニックを選択する心意気
vol.11 体験がもたらすもの
vol.12 オーガニック、なぜ買う?なぜ買わない?
vol.13 子どもたちに伝えたいこと
vol.14 ゴミをゴミにしない生活
vol.15 きっかけはそれぞれ
vol.16 ふぞろいの野菜たち
vol.17 本当に欲しいものは
vol.18 オーガニックの秋祭り
vol.19 オーガニックの畑、一般の畑
vol.20 スウェーデンのオーガニックレストラン
vol.21 過程を楽しむスローライフ

vol.22 北欧のオーガニック食品事情

vol.23 英国のオーガニック食品事情

vol.24 英国のオーガニック食品事情2


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